平富恵スペイン舞踊団公演「RyojinHisho~梁塵秘抄の世界~」
●10月14(金)、10月15日(土) 【出演】 カンテ:石塚隆充、ナタリア・マリン、奥本めぐみ ・14日(金) ・15日(土) 昼公演/開場12:30 開演13:00 |
フラメンコのルーツは、インドから渡ってきた流浪民ジプシーの嘆き、悲しみ、孤独、喜び、希望など心を表し歌ったものにあります。 カンテ(フラメンコの歌のこと)の多くは作者不詳で、人から人へと伝えられました。フラメンコの魅力は、人々の思いをダイレクトに歌いあげるところにあります。日本にも平安~源平争乱時代にかけ、“和のジプシーとカンテ”ともいうべき大衆文化が存在しました。当時社会のはぐれ者であった遊女(*あそび)、傀儡(*くぐつ)、博徒(*ばくと)などによって詠まれた「今様(*いまよう)」です。「今様」は上流階級による「和歌」とは一線を画し、形式に囚われず、大衆パワーに溢れたものでした。音楽性が高く、社会の底に生きる人々の感情を自由に表し、“大衆の流行ソング”として、幅広い層に訴えかけたのです。 『梁塵秘抄』は、この「今様」を残した貴重な歌集です。その編纂はなんと、時の最高権力者であった後白河法皇。彼は高貴な身分をも顧みず一介の遊女を師と仰ぎ、その修得に生涯情熱を燃やし、庶民の感情を自由に引き出した“珠玉の歌謡集”を生み出しました。この偉業により「今様」は、大衆芸能にありがちな“消えゆく文化”としての宿命を逃れました。 今回の公演は、和のカンテ集ともいうべき『梁塵秘抄』から歌を厳選し、日本語カンテとフラメンコで表現していく画期的な試みです。残念ながら現存する「今様」は文字のみで、音楽的な部分は定かではありません。しかしながら、華々しい貴族文化とは対照的なアウトローたちの生死観、恋愛観、家族の絆などに、千年の時を経た今、フラメンコとの融合にて本質に迫ります。 ゲストには、昨年好評だった男性舞踊家ベニート・ガルシア、歌手ナタリア・マリン、津軽三味線の覇者浅野祥を招き、また音楽監修には日本人カンテの第一人者石塚隆充という布陣で、華やかに能楽堂を彩ります。どうぞご期待下さい。 |
料金:S席¥9000 A席¥8000 |